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岡安 悟; 笹瀬 雅人; 黒田 直志; 岩瀬 彰宏; 数又 幸生*; 神原 正*
Physica C, 357-360(Part.1), p.501 - 504, 2001/09
溶融法で作製したイットリウム系高温超伝導体(QMG-YBCO)の強いピン止め特性を調べるため、照射により異なる2つのタイプのピン止め欠陥を導入し、ピン止めにおける照射効果の違いを比較した。プロトン照射では結晶のユニットサイズ(~直径15Å)程度の欠陥が試料に導入され、すべての動作温度域で1テスラの磁場付近でピン止め特性が改善された。3.5GeVのXe照射では試料内に直径10Å程度の円柱状欠陥が導入された。この欠陥は強いピン止め効果を期待されたが、もともと強いピン止め力を有するこの系ではあまり効果はなかった。しかしながら転移温度近傍の高い動作温度でピン止め力が回復する現象が観測され、円柱状欠陥によるピン止め力が高温で有効であることが示された。いずれの場合も、基本的なピン止め特性は、試料中にランダムに分布するY211の析出物が支配していることが明らかになった。
岡安 悟; 数又 幸生*
Proc. of 9th Int. Symp. on Superconductivity, 0, p.507 - 510, 1997/00
一連の長時間緩和磁化測定から30MeVのプロトン照射をしたQMG-YBCOの試料と未照射の同試料とで活性化エネルギーがどう変化するかを比較した。照射により核衝突で欠陥が試料中に導入されるとすると、その平均的大きさは直径10程度となる。また照射量110p/cmでは20ppm程度の濃度で欠陥が導入されたことになる。欠陥の濃度はあまり大きくないが、臨界電流密度及び磁束の活性化エネルギーは、20~70Kの温度範囲、~10A/cmの電流値で著しい改善がみられた。Maleyの式を用いて活性化エネルギーのJ依存性を調べると、照射、未照射どちらの場合もJのべきで表わされる。未照射の試料では全てのJの領域でJの依存性であるが、プロトン照射した試料ではJ~310A/cmのあたりを境にJのべきが-2.5(高いJの領域)から-0.8(低いJの領域)へと変化する。